薬局製剤:P102

到達目標

◎代表的な薬局製剤・漢方製剤について概説できる。

説明 資料・テキスト
90分x1コマ



指導薬剤師が行うこと

・薬局機能、薬剤師職能の一部である薬局製剤(漢方製剤も)の製造・販売の意義を説明する。

・薬局製剤製造業、薬局製剤製造販売業の許可、品目、添付文章を説明する。

・薬局製剤の製造販売と関係法令、制度(薬事法上の位置づけ、製造物責任法、薬剤師賠償責任保険など)について説明する。

・実際に薬局製剤の製造・販売業務を見学させる。

・薬局製剤において原料の取り揃えから製造・試験検査・販売・販売後モニターまでの一連の流れについて説明する。



学生が行うこと

・薬局製剤の製造・販売の意義を説明する。

・薬局製剤の製造販売と関係法令、制度(薬事法上の位置づけ、製造物責任法、薬剤師賠償責任保険など)について説明する。

・実際に薬局製剤の製造・販売業務を見学する。

・薬局製剤において原料の取り揃えから製造・試験検査・販売・販売後モニターまでの一連の流れについて説明する。



評価の視点

・薬局製剤の製造・販売の意義と関係する法規・制度について概説できる。

・薬局製剤において原料の取り揃えから製造・試験検査・販売・販売後モニターまでの一連の流れについて説明する。



当薬局での指導

薬局機能、薬剤師職能の一部である薬局製剤(漢方製剤も)の製造・販売の意義を説明する。

薬局製剤は医薬品の分類としては「薬局医薬品」「一般用医薬品」のうち「薬局医薬品」に該当する。
この「薬局医薬品」は販売するにあたっては薬局において薬剤師が対面販売・薬剤情報提供をする義務が課せられている。

薬局製剤を製造・販売するという業務は、薬剤師職能の本領を発揮する場である。製造においては薬の調合、原材料の吟味、熟練された調剤技術が要求され、販売においては患者の主訴を聞き出し、症状を評価したのち最適な処方薬を選択、そして服薬指導を行う。

薬局製剤は薬剤師のみが扱える処方薬・処方権であり、薬剤師の特権である。また薬局製剤の利益率の高さは薬剤師技能に支払われる当然の対価であるという事も学生に理解して頂きたい。


『薬九層倍』:暴利をむさぼること


と一般的には言われるが、実情を加味するならば、薬の付加価値に支払われるべき情報対価であるともいえる。



薬局製剤製造業、薬局製剤製造販売業の許可、品目、添付文章を説明する。

薬局製剤を製造・販売するにはそれ相応の許可申請が必要である。
詳細は下記の富山県薬局製剤製造販売業許可申請を参照の事。品目、添付文書は薬局製剤(薬局製造販売医薬品)業務指針 第5版を参照。

〔参考資料〕
薬局製剤業務指針 第5版
薬局製剤の製造販売業等に係る申請・届出の手続きについて 富山県



薬局製剤の製造販売と関係法令、制度(薬事法上の位置づけ、製造物責任法、薬剤師賠償責任保険など)について説明する。

《薬局製剤製造販売業》

薬局製剤の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売について保健所長の承認を受けなければならず、薬局ごとに申請が必要である。承認を要しない薬局製剤(下記参照)を製造販売しようとするときは、あらかじめ、品目ごとに、保健所長にその旨を届け出なければならない。これも薬局ごとに届出が必要。

これら薬局製剤の製造販売業の許可を受けた者でなければ業として、薬局製剤の製造販売ができない。許可は6年ごとに更新。

《薬局製剤製造業》
上記販売業と同様に、薬局製剤の製造業の許可を受けた者でなければ業として、薬局製剤の製造をしてはならなず、薬局ごとに申請が必要である。許可は6年ごとに更新。


《製造物責任法》
製品の欠陥によって生命,身体又は財産に損害を被ったことを証明した場合に,被害者は製造会社などに対して損害賠償を求めることができる法律。薬局製剤はその製造責任が薬局にあるのでこのPL法にも精通しておく必要がある。


《薬剤師賠償責任保険》
薬剤師が行う薬剤師としての業務(調剤・製剤・薬剤の管理・医薬品に関する情報提供等)を遂行する上で、何らかの過失があり、患者または第三者に損害を与え、その結果、相手方に法律上の賠償責任を負った場合、保険金が支払われる保険制度。

〔参考資料〕
承認を要しない医薬品 (Excel 15KB) 厚生労働省
薬剤師賠償責任保険 (日本薬剤師会:PDF)



実際に薬局製剤の製造・販売業務を見学させる。

当薬局では数種類の薬局製剤の製造販売を行っているが、季節によって売れ行きが違うので学生が実習に来る時期に合わせ、薬局製剤製造、患者さんへの商品紹介や販売を見学してもらう。



薬局製剤において原料の取り揃えから製造・試験検査・販売・販売後モニターまでの一連の流れについて説明する。

薬局製剤の原料選択において考慮すべきは包装単位と価格である。また、漢方製剤については同じ品目でも価格差が激しい物がある。これはその単味の漢方薬において品質が全然違うからである。

薬剤師はどのレベルの原料を選択し、どれぐらいの販売価格にするかを決定する。品質のいい物で作られた漢方製剤は非常に味が良く感じられ(まろやか)、芳香が良い。

これら原料をもちいて製造した薬局製剤には品質の試験検査の義務がある。製品試験には、重量偏差や薬効成分の構成比偏差などがある。これらの試験は定期的におこなわれる。

このようにして製造された薬局製剤を販売する際には、薬剤師が患者さんとしっかり話し合って症状を聞き出し、それに適合した製剤を勧めるべきである。そして販売後にはその使用感や副作用、症状の経過を聞いて、更なるアドバイスや製剤の変更等を検討する。