調剤録と処方せん保管管理:P323

到達目標

◎調剤録の法的規制について説明できる。

◎調剤録への記入事項について説明できる。

◎調剤録の保管、管理の方法、期間などについて説明できる。

説明 90分 x 1コマ



指導薬剤師が行うこと

調剤録は、薬剤師の調剤行為に関する法的な記録となる重要な物である事を理解させる。

・調剤録を作成する法的義務について説明する。

・調剤録の記入事項について説明する。

・調剤録の保管の方法、保存期間について説明する。



学生が行うこと

・調剤録を作成する法的義務について説明する。

・調剤録の保管の方法を見学する。

・調剤録の保存期間を説明する。

・処方せん(または模擬処方箋)に基づいて調剤録の作成を行う。



評価の視点

・調剤録の持つ意味を説明できる。

・調剤録への記入事項について説明できる。

・調剤録を適切に作成できる。

・個人情報の取り扱いも含めて、調剤録の保管方法や保存期間について説明できる。



当薬局での指導

調剤録を作成する法的義務について説明する。

(1)薬局開設者の義務(薬剤師法第28条第1項)
薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。

(2)薬剤師の調剤録記載の義務(薬剤師法第28条第2項)

(3)記載事項(薬剤師法施行規則第16条)
1、患者の氏名及び年令
2、薬名及び分量
3、調剤年月日
4、調剤量
5、調剤した薬剤師の氏名
6、処方せんの発行年月日
7、処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の氏名
8、前号の者の住所又は勤務する病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
9、医師、歯科医師又は獣医師の同意を得て処方せんに記載された医薬品を変更して調剤した場合には、その変更の内容
10、医師、歯科医師又は獣医師に疑わしい点を確かめた場合には、その回答の内容

(4)薬局管理者の保存義務(薬剤師法第28条第3項)
薬局管理者は、調剤録を、最終の記入の日から3年間保存しなければならない。

(5)罰則(薬剤師法第32条)
法28条の規程に違反した者は、50万円以下の罰金

<参考法令>
薬剤師法(昭和35年8月10日法律第146号)


【処方せんによる調剤】

第23条 (第1項省略)
2、 薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して調剤してはならない。

【処方せん中の疑義】 第24条
薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。

【調剤録記載の義務】 第28条
薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。
2、薬剤師は、薬局で調剤したときは、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入しなければならないただし、その調剤により当該処方せんが調剤済みとなったときは、この限りではない。

3、薬局開設者は、第一項の調剤録を、最終の記入の日から三年間、保存しなければならない。


薬剤師法施行規則(昭和36年2月1日厚生省令第5号)

【処方せんの記入事項】
第15条 法第26実の規定により処方せんに記入しなければならない事項は、調剤済みの旨、又は調剤量及び調剤年月日のほか、次のとおりとする。

・調剤した薬局又は病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
・記載された医薬品を変更して調剤した場合には、その変更の内容
・法第24条の規定により医師、歯科医師又は獣医師に疑わしい点を確かめた場合にはその回答の内容


【調剤録の記載事項】 第16条
法第28条第2項の規定により調剤録に記入しなければならない事項は、次のとおりとする。

・患者の氏名及び年令
・薬名及び分量
・調剤年月日
・調剤量
・調剤した薬剤師の氏名
・処方せんの発行年月日
・処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の氏名
・前号の者の住所又は勤務する病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
・前条第2号及び第3号に掲げる事項



調剤録の記入事項について説明する。

上記項目参照の事。



調剤録の保管の方法、保存期間について説明する。

調剤録の保管は各薬局ごとに保管する。何店舗もあるような薬局チェーンでも、それを統合して保管する事は出来ない。また、重要な個人情報であるため、鍵のかかる設備への保管が望ましい。保存期間は3年である。