服薬指導実践実習:P322Δ

到達目標

◎患者に共感的態度で接する。(態度)

◎患者との会話を通じて病態、服薬状況(コンプライアンス)、服薬上の問題点などを把握できる。(技能)

◎患者が必要とする情報を的確に把握し、適切に回答できる。(技能・態度)

◎患者との会話を通じて使用薬の効き目、副作用に関する情報を収集し、必要に応じて対処法を提案する。(技能・態度)

◎入手した情報を評価し、患者に対してわかりやすい言葉、表現で適切に説明できる。(技能・態度)

実習 90分 x 40コマ
STEP#3:指導薬剤師の指導下でコミュニケーションの実践(実際にする)



指導薬剤師が行うこと

・学生とコミュニケーショントレーニングを行う。

・服薬指導を見学させ、会話から得られた患者の状況や抱えている問題について学生と討論する。

・服薬指導を見学させ、患者が必要とする情報を学生に説明させる。

・情報の評価の仕方について知識を確認する。

・患者に対してわかりやすい言葉、表現を使う事の意義を説明する。

・服薬指導を見学させ、会話の中で使用薬の効果、副作用に関しての情報を収集させ、必要に応じて対処法を指導薬剤師に提案させる。(ロールプレイでも可)

・問題を解決するために必要な情報を調べさせ、指導薬剤師にわかりやすく、適切に説明させる。

・症例を選び、患者の同意を得て服薬指導を行わせる。



学生が行うこと

・コミュニケーショントレーニングを行う。

・服薬指導を見学し、会話から得られた患者の状況を抱えている問題について指導薬剤師と討論する。

・服薬指導を見学し、患者が必要とする情報を説明する。

・情報の評価の仕方について説明する。

・患者に対してわかりやすい言葉・表現を使う事の意義を説明する。

・服薬指導を見学し、会話の中で使用薬の効果・副作用に関しての情報を収集し対処法を指導薬剤師に提案する。(ロールプレイでも可)

・問題を解決するために必要な情報を調べ、指導薬剤師にわかりやすく適切に説明する。

・患者の同意を得て服薬指導を行う。



評価の視点

・患者に共感的態度で接する事が出来る。

・服薬指導において、患者に確認すべき事項を列挙できる。

・患者との会話を通して患者の病態や服薬状況を把握できる。

・患者との会話を通して患者の問題点を把握できる。

・患者との会話を通して使用薬剤の効き目・副作用に関する情報を収集し、必要に応じて対処法を提案できる。

・患者に対し、わかりやすい言葉・表現を使う事が出来る。

・患者が必要とする情報を的確に把握し、適切に説明できる。



当薬局での指導

学生とコミュニケーショントレーニングを行う。

「薬学生実務実習指導の手引き」によると、コミュニケーショントレーニングの方法とは、

1、実習生に話し手になってもらい、1分ほど話をしてもらう。指導薬剤師は聞き手となって相づちを打たない。2回目の話では相づちを打つ。1回目と2回目で感じ方がどう違ったかを学生に質問する。もう1人の学生には観察者としての意見を聞く。これを交代で行う。

2、相づちの有無だけでなく、共感的繰り返しを入れた場合等もおこなう。

3、徐々に話す時間を伸ばして行き、開いた質問と閉じた質問の使い分けやブロッキングに気づき自覚的に避ける、ポイントを繰り返し要約して確認を取るなどの練習を行う。

という事であるが、 実際の現場実習ではこんな事をする時間は正直ない。

この項目で何が重要なのかを考えた場合、学生に理解して行動として実践できるようになって欲しい事は、「患者が何を言いたいのかしっかり聞く」「薬剤師として聞きたい事を答えてくれるような質問をする」等と言った会話技術を習得できればいいという事である。

これらの技術を習得するのは慣れが必要で、指導したすぐ傍から出来るようなものではない。何度も何度も薬剤師の服薬指導をそばで観察して自分なりの話し方や雰囲気が出せるようになってからでないと出来る訳が無い。

なので、簡単に解説は行うが、実際に行動できるようになるまでの訓練として、まずはしっかりと業務の流れの中でも指導薬剤師や現場の薬剤師がどういった話をしているのか、質問をしているのか、患者との会話の中から盗んでいってもらうしかない。



服薬指導を見学させ、会話から得られた患者の状況や抱えている問題について学生と討論する。

患者が抱える問題としては様々な問題がある。その問題は何も服薬がきちんとできないといったようなものだけではない。そういった個々の患者が抱える問題を薬剤師は時として相談されるのである。

こういった場面に遭遇する機会があれば、問題内容を学生に説明し、それに対してどう答えるかを聞いてみたい。これらの問題の答を出すためには、その人間の人生観が大きく影響する。今までの人生で如何にいろんな物事に対して自分なりの考えを持って生きて来たかが試されるのである。



服薬指導を見学させ、患者が必要とする情報を学生に説明させる。

患者との会話で指導薬剤師などが患者からの質問を引き出しておいて、その答えを学生にさせるという事らしいのだが・・・無理がある。即時的な対応はまず出来まい。となれば、患者からの何らかの質問に対して調べなければならないような案件が提示されるようなことがあれば、そのレポートなり回答を学生にさせれば良いのではないか?と考えている。



情報の評価の仕方について知識を確認する。

服薬指導中に患者との会話の中から出て来た薬効や副作用についての話が出た場合に、それが本当に副作用なのか、ただの使用法間違いによる弊害なのかを見極める必要がある。

具体的に言えば、点眼薬を処方されて、点眼をすると余計に目がコロコロするなどといった話があった場合に、もしかしたら点眼瓶の先が眼球にあたってはいないだろうかと考え、実際に目の前で患者の点眼方法を実践してもらい、問題点を指摘する。などそういった知識を持ち合わせているかどうかを確認する。



患者に対してわかりやすい言葉、表現を使う事の意義を説明する。

服薬指導の最終到達目的は「患者自身が間違いなく薬を服薬する事」である。そのために薬効の説明をしたり、服用方法を説明するのである。

よって、きちんと服薬をして頂くためには、難しい言葉で混乱を招くような服薬指導をしてはならないのである。それはただ薬剤師の自己満足に過ぎない。そんなものは必要ない。しかしながら、過剰なまでの安易な言葉も頂けない。



服薬指導を見学させ、会話の中で使用薬の効果、副作用に関しての情報を収集させ、必要に応じて対処法を指導薬剤師に提案させる。(ロールプレイでも可)

何十回と見学するであろう薬剤師による服薬指導において、問題点があった患者との会話を聞いて学生なりに「では自分はどう対処をするのか?」を考え、提案してもらう。

「患者との会話の中で」というのがミソで、その場面があればやってもらう。無ければロールプレイにて行う。薬剤師が服薬指導している時は、そちらにもアンテナを張る癖をつけてもらわねばならない。



問題を解決するために必要な情報を調べさせ、指導薬剤師にわかりやすく、適切に説明させる。

上記提案を作成するにあたって、なぜそう思ったのかという点まで学生に説明してもらう。



症例を選び、患者の同意を得て服薬指導を行わせる。

実際にはまずは簡単な処方内容で顔なじみの患者から始めて行き、最終的には新患にも対応できるようになってもらう。そのための2.5ヶ月である。