地域保健:P508

到達目標

◎学校薬剤師の職務を見聞し、その役割を説明できる。

説明・見学 学校薬剤師
90分 x 2コマ
可能な限り学校を見学



指導薬剤師が行うこと

学校保健の管理を実践するための、具体的な項目を説明し、学校薬剤師の主な職能を理解させる。また、所属長(校長、理事長など)の許可を得た上で、実際に学校薬剤師活動を体験させる。

・学校薬剤師の社会的位置づけを理解させる。(学校教育法施行規則、学校保健安全法第23条)

・学校薬剤師の主な職能を説明する。(学校保健安全法施行規則第1条〜2条、及び24条)

・担当学校の学校保健計画及び学校安全計画を立て、それに基づいて行う定期環境衛生検査、臨時環境衛生検査、および日常点検の意義を説明する。

・学校及び環境衛生検査で使用する薬品の管理について理解させる。

・実際の定期環境衛生検査および臨時環境衛生検査を見学し、一部体験させる。

・検査結果に基づき、報告、指導・助言する事が業務の一環である事を説明する。



学生が行うこと

学校の保健管理において、学校保健安全法に基づき、専門知識と技術を有する学校薬剤師が果たす役割について理解する。

・学校薬剤師の主な職能を説明する。

・実際の環境衛生検査の一部を体験する。

・検査結果に基づく、適切な指導・助言の方法を説明する。



評価の視点

・学校における保健管理に関する学校薬剤師の職務が説明できる。

・学校において使用する薬品などの管理について説明が出来る。

・「学校環境衛生基準」に基づく「定期検査」「臨時検査」「日常点検」について説明できる。



当薬局での指導

学校薬剤師の社会的位置づけを理解させる。(学校教育法施行規則、学校保健安全法第23条)

学校教育法第1条で「学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする」と定められており、同法第 12条に「学校においては、別に法律で定めるところにより、幼児、児童、生徒、及び学生並びに職員の健康の保持増進を図るため、健康診断を行い、その他その保健に必要な措置を講じなければならない」となっています。

この法律を受けて昭和33年4月10日に学校保健法が制定され、その後改正を重ね、平成21年4月1日学校保健安全法に改題されました。その23条には、

1. 学校には学校医を置くものとする。
2. 大学以外の学校には、学校歯科医及び学校薬剤師を置くものとする。
3. 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師は、それぞれ医師、歯科医師又は薬剤師のうちから  任命し、又は委嘱する。
4. 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師は、学校における保健管理に関する専門的事項に関し、  技術及び指導に従事する。
5. 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の職務執行の準則は、文部科学省令で定める。

とされています。
また、薬事法第7条第3項によって薬局の管理者であっても兼務が認められています。

薬局の管理
第7条第3項に薬局の管理者は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。

〔参考資料〕
・日本学校薬剤師会:学校薬剤師の仕事



学校薬剤師の主な職能を説明する。(学校保健安全法施行規則第1条〜2条、及び24条)

学校保健安全法施行規則第24条に学校薬剤師の職務執行の準則が、 第24条 学校薬剤師の職務執行の準則は、次の各号に掲げるとおりとする。

一.学校保健計画及び学校安全計画の立案に参与すること。
二.第1条の環境衛生検査に従事すること。
三.学校の環境衛生の維持及び改善に関し、必要な指導及び助言を行うこと。
四.法第8条の健康相談に従事すること。
五.法第9条の健康指導に従事すること。
六.学校において使用する医薬品、毒物、劇物並びに保健管理に必要な用具及び材料の管理に関し必要な指導及び助言を行い、及びこれらのものについて必要に応じ試験、検査又は鑑定を行うこと。
七.前各号に掲げるもののほか、必要に応じ、学校における保健管理に関する専門的事項に関する技術及び指導に従事すること。

2.学校薬剤師は、前項の職務に従事したときは、その状況の概要を学校薬剤師執務記録簿に記入して校長に提出するものとする。と定義されています。




担当学校の学校保健計画及び学校安全計画を立て、それに基づいて行う

定期環境衛生検査、臨時環境衛生検査、および日常点検の意義を説明する。

学校保健安全法第6条1には、文部科学大臣は、学校における換気、採光、照明、保温、清潔保持その他環境衛生に係る事項について、児童生徒等及び職員の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準(以下この条において「学校環境衛生基準」という)を定めるものとする。

2.学校の設置者は、学校環境衛生基準に照らしてその設置する学校の適切な環境の維持に努めなければならない。

3.校長は、学校環境衛生基準に照らし、学校の環境衛生に関し適正を欠く事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができないときは、当該学校の設置者に対し、その旨を申し出るものとする。

以上のように学校には衛生環境基準が設定されており、これら基準を保つべく日常点検を行う必要がある。学業を行うにあたってはその環境を良い状態に保つ事は重要である。



学校及び環境衛生検査で使用する薬品の管理について理解させる。

水質検査などでは塩素濃度測定にDPD法、pH測定にBTB溶液などを用いるが、これらは経時的に劣化してくるので、ある程度の年数が経った段階で新しい物に交換する必要がある。保管については一般的な薬品と同様に直射日光、高湿度を避けて保管する。



実際の定期環境衛生検査および臨時環境衛生検査を見学し、一部体験させる。

この項目については、学生と一緒に水質検査を行いに行く予定である。もちろん、学校側の許可を得てからである。



検査結果に基づき、報告、指導・助言する事が業務の一環である事を説明する。

以上のような学校環境基準を点検し、その結果として不適切な状況である場合は、その改善や方法について助言を行い、一刻も早い段階で環境基準を満たす必要がある。