情報の入手と加工:P204

到達目標

◎薬歴簿から得られる患者情報を的確に把握できる。(技能)

演習
薬歴簿 90分 x 5コマ



指導薬剤師が行うこと

患者の特性やニーズとを把握した上で適切な個別対応を行うために、薬剤服用歴の記録(以下、薬歴)から患者情報を得ること、さらに主観的情報を収集して行く必要がある事を説明する。

・実例をもとに、薬歴から把握できる患者情報について説明する。

・再来患者に対して確認する事項とその意義について説明する。

・患者の状況や抱えている問題点、ニーズ等を学生と話し合う。



学生が行うこと

・薬歴から患者情報を把握する。

・処方せんと薬歴を用いて、経時的に変化して行く処方内容と服薬指導内容から薬学的視点で患者の問題を抽出できる。

・患者の抱えている問題について指導薬剤師と話し合う。



評価の視点

・薬歴から患者情報を把握できる。

・患者に確認すべき事項を列挙できる。

・経時的流れのなかで患者の問題点を抽出できる。



当薬局での指導

実例をもとに、薬歴から把握できる患者情報について説明する。

実際の薬歴を用意して解説する。薬歴から把握できる患者情報については、

・患者氏名
・生年月日
・患者保険情報
・他科受診の有無
・併用薬の有無
・アレルギー既往歴
・手術歴
・医薬品による副作用の有無
・嗜好品
・職業特性
・服薬指導をする上での注意点
・過去の服用歴及びその経過
・慢性疾患における服用コンプライアンスの良し悪し

などが読み取れる。



再来患者に対して確認する事項とその意義について説明する。

再来患者に対して確認すべき事は、まず副作用の有無。そして薬の効果はどうであったのか、使用感は?なにか不都合が無かったか?コンプライアンスは良かったか?などが挙げられる。

これらの確認事項において、何らかの問題が見受けられるようであるならば、それを解決するような対策を考え、患者に提案する。

また、場合によっては服用薬の変更を処方医に提案するような疑義照会を行う。

以上のような確認事項、及び提案を行う際に注意すべき事としては、「医療の主体」は「患者本人」で有るという事を常に念頭に置いておかなければならない。

薬剤師の自己満足のための確認や提案になってはならない。インフォームドコンセントが重要である。



患者の状況や抱えている問題点、ニーズ等を学生と話し合う。

時間数が5コマあるので、薬歴を5例用意して、それぞれについて学生に見てもらい、問題点やこういった事にニーズが有るのではないのか?という推測をしてもらって、次回來局時にどのような事を対応をすべきか考えてもらう。

用意する薬歴5例としては、以下のものを用意する予定。

・経時的に処方薬が変わっている患者(なぜに変わっているのか?)
・長期間同じ医薬品が続いている患者(コンプライアンスに問題は無いか?)
・乳幼児の患者(服薬時に何か問題は無いか?嫌がっていないか?)
・高齢者の患者(生返事をしやすい。自分の薬をきちんと理解しているか?)
・老老介護をしている患者(患者宅への配達の要望は?)

※事前に上記内容の薬歴を用意しておく必要あり。5例分。