薬局アイテムの管理と保存:P104Δ

到達目標

◎医薬品の適正在庫とその意義を説明できる。

◎納入医薬品の検収を体験し、そのチェック項目(使用期限、ロットなど)を列挙できる。

◎薬局におけるアイテムの管理、配列の概要を把握し、実務を体験する。(知識・技能)

説明・実習 90分x4コマ



指導薬剤師が行うこと

・薬局は、使用者に最適な医薬品を供給・販売できるよう、繁用品、稀用品を問わず地域の実情に即した医薬品を備蓄する債務があることを説明する。

・医薬品の発注にあたっては、在庫切れが生じないよう、また過剰な在庫とならないよう包装単位と発注サイクルを考慮する必要が有ることを説明する。

・納入された医薬品の検収業務を見学させ、主なチェック項目を説明する。

・医薬品の記帳業務(薬事法施行規則第14条)および記帳の方法などについて説明する。

・代表的な医薬品を例にとり、品質に影響を与える因子(温度・湿度・光)と適切な保管方法について説明し、実際の保管状況を見学させる。

・薬局アイテムの管理・配列(陳列)のポイントを説明する。

・医薬品の在庫確認・検収業務を学生と一緒に行う。

・薬局アイテムの管理・配列(陳列)についての実務を学生と一緒に行う。



学生が行うこと

・検収業務を見学し、検収時のチェック項目を説明する。

・医薬品の在庫確認や受発注・検収業務を体験する。

・医薬品の品質に影響を与える因子を説明する。

・薬局アイテムの管理・配列(陳列)のポイントを説明する。

・薬局アイテムの管理・配列(陳列)について、実務を体験する。



評価の視点

・薬局・薬剤師の責任を含め、適正在庫の意義を説明できる。

・受発注業務や検収業務のポイントを説明できる。

・医薬品の品質に影響を与える因子と適切な保管方法について説明できる。

・検収業務ができる。(3〜4週間後までに)



当薬局での指導

薬局は、使用者に最適な医薬品を供給・販売できるよう、繁用品、稀用品を問わず地域の実情に即した医薬品を備蓄する債務があることを説明する。

薬局という物は、人々の健康を守るべく存在している。よって、地域の人々のセルフメディケーションを達成すべく、それらに関係するアイテムを過不足無く揃えておく必要が有る。

地域の実情に即すというのは、薬局が位置している地域に存在する病院や医院の採用品目を備蓄しなければならないという事である。

これらは万が一の自然災害時に薬局が一時的な医薬品の供給拠点として機能を果たす役割が有るからである。



医薬品の発注にあたっては、在庫切れが生じないよう、また過剰な在庫とならないよう包装単位と発注サイクルを考慮する必要が有ることを説明する。

医薬品の在庫不足となれば、薬を必要としている患者に調剤が出来ないという事をいみする。急を要する疾患の場合、患者に健康被害が及んでしまう。これは絶対に許されない事である。

普段あまり回転しない医薬品は、その患者の次回来局日を勘案して発注をかけておく必要が有る。一方、在庫過剰になれば、医薬品の期限切れが発生し、廃棄となるため、経営上の被害が生じる。これは薬局に限らず、会社を経営する際には損失を防ぐという最低限行わなければならない事である。



納入された医薬品の検収業務を見学させ、主なチェック項目を説明する。

検収業務を見学してもらう。その際は横に一緒に立ってもらって、何を確認しているのかを見てもらい、直後、どういった事に気をつけていたかを質問してみる。そして足らない点を補足説明する。



医薬品の記帳業務(薬事法施行規則第14条)および記帳の方法などについて説明する。

1:コンピユーターによる記帳及び保存 記帳義務の履行に当たっては、原則として、書面に所定事項を記載し、その書面を保存することが求められているものであるが、施行規則第14条(施行規則第 142条、第149条及び第159条において準用される場合を含む。)第1項各号に掲げる事項がコンピユーターに記憶されており、これらの事項を随時データとして引き出せるシステムが採用されていれば、これをもって記帳義務の履行と取り扱って差し支えないこと。

2:他の医薬品伝票との区別保存 記帳義務の履行に当たって、当該書面に代えて伝票を保存しようとする場合において、記帳義務の課せられていない他の医薬品も併せ記入された伝票を保存すること又は当該伝票と記帳義務の課せられていない他の医薬品のみが記入された伝票とを区別しないで保存することについては、これを認めて差し支えないが、記帳義務の趣旨が損われないよう指導されたいこと。

〔参考資料〕
薬食発第0601001号 平成21年6月1日(PDF)



代表的な医薬品を例にとり、品質に影響を与える因子(温度・湿度・光)と適切な保管方法について説明し、実際の保管状況を見学させる。

温度についてはインスリン製剤や一部の点眼薬、坐薬などが冷所保存の対象となる。また、これら温度管理が必要な医薬品はその流通にも十分な配慮がなされている事を知ってもらう。湿度に関しては、水回りや結露などが起こるような場所では基本的に保存場所として適していない。

また、吸湿性の医薬品には、包装に乾燥剤が封入されている事が多いという事を知ってもらう。光については、長期間の保存で光の影響をうける製剤について説明する。具体的に気をつけなければならないのは、薬液に色がついている製剤。アズレン点眼、サンコバ点眼など。光の影響により退色して行く。



薬局アイテムの管理・配列(陳列)のポイントを説明する。

管理に関してのポイントは、その医薬品について在庫が有るかどうかが瞬時に分かるようにタグを貼っておいたり、すぐ見える所に在庫を一括して保管しておくなどの工夫をしている事を知ってもらう。

外用と内服を分けて保存したり。 配列については薬効別に配置をする場合や「あいうえお順」に配置する場合などがある事を知ってもらう。

薬効別配置の場合には万が一のピックアップミスを起こした際にも同系統の医薬品であるため健康被害が少ないという考え方が有る。「あいうえお順」の配置には、新人やまだなれていない従業員が居るような状況でも薬を探しやすいというメリットがある。

しかし、規格違いや似たような名前の医薬品が同じような所に配置されてしまうので注意が必要。それらを間違えないようにするポイントなどにも言及する。

OTCに関しては、分類別の配置に気をつける必要が有る。また、販売経営学からみて顧客にどういったものを見やすく配置するべきか、どういったPOPをつけるか考慮する必要がることを知ってもらう。



医薬品の在庫確認・検収業務を学生と一緒に行う。


薬局アイテムの管理・配列(陳列)についての実務を学生と一緒に行う。

実際に一緒にやる。最終的には学生だけでやらせてみる。