患者・顧客との接遇:P401

到達目標

◎かかりつけ薬局・薬剤師の役割について指導薬剤師と話し合う。(態度)

◎患者、顧客に対して適切な態度で接する。(態度)

討議 各大学の関連資料、薬局で提供される資料
90分 x 2コマ



指導薬剤師が行うこと

・実習期間を通じて、学生が体験し感じた事から「薬局像」「薬剤師像」について話し合う。  
※実習期間の導入部においても同様の事を行い、実習体験前と体験後の違いを比較してもよい。

・「かかりつけ薬局・薬剤師」をテーマに話し合う。
※できるだけ他の薬剤師、スタッフも交えて行う事が望ましい。その場合、指導薬剤師には討論の進行役もしくはアドバイス役となり、学生に多く発言の機会を与えるように配慮する。

・薬剤師が行う顧客対応を見学させる。

・挨拶、言葉遣い、マナー、コミュニケーションのポイントについて説明し、学生とロールプレイを行う。

学生には店頭カウンターでの指導薬剤師の患者・顧客対応を積極的に見せて下さい。その上で態度、言葉遣いなど、コミュニケーションの大切さを理解させましょう。



学生が行うこと

・実習期間を通じて、学生が体験し感じた事から「薬局像」「薬剤師像」について話し合う。

・指導薬剤師、他のスタッフとともに「かかりつけ薬局・薬剤師」について話し合う。

・指導薬剤師が行う顧客対応を見学する。 ・来局者に対しての挨拶、言葉遣い、マナー、コミュニケーションの取り方の  ロールプレイを行う。

・「社会における薬剤師の役割」というテーマで、レポートを書く。(400~800字程度)

※実習開始時と終了時にてそれぞれレポートを書いてもらい、実習後における意識の変化を確認する。



評価の視点

・「かかりつけ薬局・薬剤師」の役割について説明できる。

・指導薬剤師、他のスタッフとの討論に積極的に参加できる。

・ロールプレイにおいて顧客に対する対応が適切にできる。



当薬局での指導

実習期間を通じて、学生が体験し感じた事から「薬局像」「薬剤師像」について話し合う。

※実習期間の導入部においても同様の事を行い、実習体験前と体験後の違いを比較してもよい。

実習期間の始めの方で「薬局像」「薬剤師像」について学生と話をしてみたいと考えている。その時点では学生が持っている単純な感想や意見を聞き出すだけでいいと思う。そして、実習の終わり頃に再度、同じ話し合いの場を持つようにしたい。

ここで重要なのは、「薬局像」「薬剤師像」が実習という現場経験をする事によって意見が変化して行くということは、もちろん良い事なのだが、もう少し深くまで考えてもらいたい事がある。

それは、「ではなぜ、実習を始めた頃と終わり頃では意見が変わったのか?」という所である。学生の思考として到達して欲しいのは、一般社会生活における医療人たる薬剤師の存在感が如何に薄いかを実感し、薬剤師職能の幅の広さと奥深さをどうすれば国民に知ってもらい、国家資格として必要とされるよう国民にアピールできるかを考えてもらいたいのである。

明確な正解というものは無く、回答としても千差万別で結構なのだが、薬というものを通して患者と真摯に向き合い、いま目の前に居る患者を守るという事が大前提であり、その上でさらに必要な事を学生に考えていただきたい。



「かかりつけ薬局・薬剤師」をテーマに話し合う。

※できるだけ他の薬剤師、スタッフも交えて行う事が望ましい。その場合、指導薬剤師には討論の進行役もしくはアドバイス役となり、学生に多く発言の機会を与えるように配慮する。

こういったテーマに沿ったディスカッションが日本の学生はことごとく苦手である。慣れていないのだから仕方が無いかも知れない。なので、進行役がリードをしないと無駄な時間が過ぎ去るばかりとなってしまう。

ここでは話し合いをリードするための項目を列挙する。

・かかりつけ薬局、薬剤師とは何か?
・そんなものが必要か?
・なぜ必要(不要)と考える?
・では、薬剤師はどうすればいいのか?

この話し合いによって学生に到達してもらいたい考え方としては、人間は高齢化に際し、多科受診をするようになるが、それぞれの診療科から処方されている薬の併用について、かかりつけの薬局、薬剤師がいれば、相互作用やアレルギーチェックなどで薬害を回避できるという利点がある。

つまり、その患者個人の薬を全面的に管理してもらう存在が、かかりつけ薬局・薬剤師なのである。 また、薬剤師と顔なじみになる事で、医療や福祉に関する相談もしやすくなり、患者にとって有益な情報を得る事が出来るようになる。薬剤師は地域の気軽な医療相談役でもある。

以上のように、かかりつけ薬剤師が患者・地域にとって有用な存在になるのだが、そうなるために薬剤師はどうあれば良いか。それに必要なのは人間性である。確かな知識も重要だが、薬局薬剤師は人間相手の職である。薬剤師個人の持つ雰囲気や話し方、真摯な姿勢、また人間的に魅力ある人物になる事が必要だと思われる。そのためには薬学分野に限らず見聞を広め、知識を吸収する習慣が必要である。



薬剤師が行う顧客対応を見学させる。

ただ学生に顧客対応を見てもらうのでは何の意味も無い。「なぜ、そのような言い回しをしたのか」「どういった事に気をつけたのか」ということを学生に知ってもらえるように、また自身もそう考えて顧客と会話が出来るようになってもらうために、薬剤師がどう考えて発言したかを顧客対応後に学生に伝えるべきだと考えている。



挨拶、言葉遣い、マナー、コミュニケーションのポイントについて説明し、学生とロールプレイを行う。

それぞれのポイントについて述べる。

・挨拶=相手に聞こえなければ挨拶ではない。適切な声量での挨拶を。
・言葉遣い=自然な感じで丁寧に話をする。敬語が固過ぎても患者に壁を作られるだけ。
・マナー=薬局におけるマナーといえば個人情報や会話内容が他者にも聞こえる空間である事を認識することが大切。
・コミュニケーション=相づち、相手の話を良く聞く、適度に目を見て話をする。

ロールプレイについては、指導薬剤師以外にも職員が患者、顧客としてやってみるのもよいかと考えている。



「社会における薬剤師の役割」というテーマで、レポートを書く。(400~800字程度)

※実習開始時と終了時にてそれぞれレポートを書いてもらい、実習後における意識の変化を確認する。

レポートを提出してもらう。この程度の文字数なら2時間もあればできるか?