【到達目標】
◎入手した患者情報を、必要に応じ、適正な手続きを経て他の医療従事者に提供できる。(技能・態度)
演習
必要に応じた資料 90分 x 3コマ
【指導薬剤師が行うこと】
・他の医療従事者へ伝える患者情報とその意義について説明する。
・服薬情報提供書の必要性と記載の仕方を説明する。
・個人情報の保護を含め、患者情報を他の医療従事者に提供する場合の適切な方法を説明する。
【学生が行うこと】
・シナリオをもとに、服薬情報提供書を作成する。
【評価の視点】
・他の医療従事者に対して適切な患者情報の伝達が出来る。
・他の医療従事者に患者情報を提供する際に注意するポイントを説明できる。
・服薬情報提供書を作成することができる。
【当薬局での指導】
●他の医療従事者へ伝える患者情報とその意義について説明する。
薬局業務をしていると時として医療機関からの問い合わせが入る事がある。その問い合わせ内容は、患者の併用薬についてが主である。一般的に患者は自身の薬の内容を把握していない。
正しい品名まできちんと記憶している患者は皆無である。よって患者が様々な医療機関を受診する際には常に併用薬の確認を必要とする。理由は当然、重複投薬や併用禁忌、相互作用の確認である。
●服薬情報提供書の必要性と記載の仕方を説明する。
服薬情報提供書はトレーシングレポートともいい、緊急性が無く、疑義照会するほどではないが、処方医に申し伝えておきたいような事柄があった場合に活用されるべきものである。
内容としては、服薬コンプライアンス不良時の処方提案、副作用が疑われる事例、患者が医師には言いにくくて薬局で話してくれた何気ない一言などがある。
このトレーシングレポートを活用する事で、患者QOLの向上を目指す。その記載の様式に特に決まりは無いが、提供先が処方医である事を鑑み、要点を簡潔にまとめて記載するという事に気を使うべきである。
また、トレーシングレポートを提供した患者の薬歴には複写を添付しておく事が望ましい。そうすれば次回以降の服薬指導にも役立つからである。
この項目に関しては以下、神戸学院大学の上町亜希子先生が運営されているHPが詳しく解説されているので参照されたい。
先生は現在、主にコミュニケーション教育を研究テーマに活動されておられます。上町亜希子先生にはこの場を借りてリンク許可のお礼を申し上げます。ありがとうございました。
〔参考資料〕
・トレーシングレポート(服薬情報提供書)
・薬局薬剤師のファーマシューティカルケア:本当に患者の利益になるPOSと薬歴の活用
●個人情報の保護を含め、患者情報を他の医療従事者に提供する場合の適切な方法を説明する。
他の医療機関や医療従事者からの問い合わせに対して患者情報を提供する場合、患者情報などは最小限かつ、他の患者との取り間違えが起こらない程度に開示する必要がある。
同姓同名、同一生年月日(双子などで苗字が同じ)などは患者取り間違えの原因になっている。
また、問い合わせに対する回答を簡潔に必要最低限に収めるには多少の時間がかかるので、折り返しこちらから連絡する旨を伝え、連絡先を控えておく。
こうする事によって、万一、その問い合わせが偽装だった場合でも事前に連絡先が本当に存在する医療機関かどうかを調べる事で対処できる。
その他、その問い合わせ内容の回答は急ぐのか、急がないのか。急がない場合、回答の時間帯はいつが良いのかも合わせて聞いておくとよい。
時間数が3コマなので、解説に1コマ。シナリオでのレポート作成に2コマ。
※事前にシナリオを2例を用意しておく必要あり。具体例は下記。
・医療機関からの問い合わせで、ある患者さんの直近3ヶ月服薬履歴を教えて欲しいと言うもの。
・医師には、なかなか自分の意見を言えないという患者から、薬局で服用薬の服用時点がどうしても生活リズムに合わなくて困っているという相談を受けた場合を想定。
処方医への服用薬変更または服用時点変更を要請するため、トレーシングレポートを作成する。