処方せんの受付:P302

到達目標

◎処方せん(麻薬を含む)の形式および記載事項について説明できる。

◎処方せん受付時の対応および注意事項(患者名の確認、患者の様子、処方せんの使用期限、記載不備、偽造処方せんへの注意など)について説明できる。

◎初来局患者への対応と初回質問表の利用について説明できる。

説明・実習
処方せん
90分 x 2コマ



指導薬剤師が行うこと

処方せんの記載項目を確認する事の重要性を説明する。患者情報収集の重要性について説明する。

・処方箋の様式および記載事項について説明する。

・麻薬処方箋の記載事項について説明する。

・受付時など、患者名を確認する必要性を説明する。

・患者への配慮の仕方を説明し、実際の患者対応を見学させる(声かけのタイミング、プライバシーへの配慮など)。

・偽造処方箋の過去の事例を説明し、チェックするポイントを説明する。

・初回患者情報記録用紙(以下、初回質問票)の内容および患者情報収集の理由を説明する。

・「後発医薬品への変更不可」欄に医師の署名もしくは記名・押印のない処方せんを受け付けた時の対応・手順を説明する。

・ジェネリック医薬品への変更希望の有無を確認する上での対応・手順を説明する。

・患者役になり初来局の患者へのロールプレイを行う。



学生が行うこと

・処方箋に記載されるべき事項を全て列挙する。

・指導薬剤時の準備した処方箋の写しについて、記載事項の不備を説明する。

・患者の様子に応じた対応のポイントについて説明できる(患者に注意を払う)。

・患者に配慮しながら氏名に確認が出来る(必ずフルネームで確認、プライバシーへの配慮など)。

・初回質問票に自身の情報を記載してみる。

・偽造処方箋のチェックポイントを説明できる。

・「後発医薬品への変更不可」欄の指示に応じた対応・手順を説明できる。



評価の視点

・処方せんの様式および記載事項を正しく説明できる。

・処方箋の記載事項の不備を指摘できる。

・初回質問票の利用方法について説明できる。



当薬局での指導

処方せんの記載項目を確認する事の重要性を説明する。患者情報収集の重要性について説明する。



処方箋の様式および記載事項について説明する。

平成22年4月の医療法改正により処方箋の様式が下記のように変更された。


さらなる後発医薬品利用促進、医療機関コードが目新しいものになっている。



麻薬処方箋の記載事項について説明する。

麻薬処方箋の記載事項は、処方欄の書き方などは同じであるが、以下の2項目が処方箋に追加される。

・患者の住所
・麻薬施用者の免許番号



受付時など、患者名を確認する必要性を説明する。

受付時に患者名を確認する理由は、院外処方における人為的エラーを未然に防ぐ事にある。人為的エラーには、医院の患者取り違えによる処方ミス、患者自身の処方箋受けとり間違いなどがある。これらの人為的エラーが起こっていたとしても、受付時に患者名を確認する事により、調剤過誤・調剤事故を防ぐことができる。



患者への配慮の仕方を説明し、実際の患者対応を見学させる(声かけのタイミング、プライバシーへの配慮など)。

薬局において患者を出迎える挨拶は「いらっしゃいませ」ではなく、「おはようございます」「こんにちは」などであるが、タイミングとしては患者が扉を開けて薬局に入ったと同時に挨拶を行うべきである。

これは、薬局側が患者の入店に気がついているという意思表示でもあり、即座に処方箋を受け取って調剤を行う行動を示す事で患者への要らぬ心配を掛けないためである。(処方箋を誰に渡せば良いのか?気がついてくれているのか?いつになったら薬をくれるのか?等)


自分の薬局に来て頂いた患者を戸惑わせてはならない。


薬剤師は薬歴の記載業務などで手元が忙しい事が多いとは思うが、患者が来局したならば、一旦作業を中止し、患者を出迎えるのが是だと考える。これは薬剤師に限らず、薬局の従業員皆が状況を把握し、手があいている者が対応すべきである。

また、挨拶についてであるが、言うまでもなく、

相手に聞こえない挨拶は挨拶ではない

これを肝に銘じて頂きたい。


プライバシーについては、特に服薬指導の際に「○○病の薬ですが・・・」などとあまり大きな声で説明するのは配慮に欠けているということは言わずもがなである。



偽造処方箋の過去の事例を説明し、チェックするポイントを説明する。

偽造処方箋について、時折薬剤師会などから報告が来る事があるが、その内容としていくつかのポイントがある。

・処方箋が汚い。
・手書きである。
・投与日数制限を超えている。
・近隣の医療機関でない。(他都道府県の医療機関の処方)
・忙しい時間帯に持ってくる。
・向精神薬、睡眠薬の処方内容である。

などである。



初回患者情報記録用紙(以下、初回質問票)の内容および患者情報収集の理由を説明する。

どの医療機関に行っても、初回質問票の記入は求められる。それは薬局も例に漏れず必要な情報である。初回質問票の内容としては、

・薬、食べ物についてのアレルギーの有無。
・過去の副作用経験の有無。
・現疾患。
・現在の服用薬。

などであるが、昨今、後発医薬品の使用促進の意味も込めて

・後発医薬品を使用したいか?

などといった質問もある。また、一部薬局には患者の求めるニーズを把握する目的で

・薬を早く渡して欲しい。
・説明は簡単でよい。
・詳しく薬の事について説明して欲しい。

といった質問を設定している薬局もある。



「後発医薬品への変更不可」欄に医師の署名もしくは記名・押印のない処方せんを受け付けた時の対応・手順を説明する。

医療費削減の目的で国は後発医薬品使用を促進している。これに伴い、上記のような欄がもうけられているが、記名・押印の無い処方せんを受けた場合は、その処方内容に後発医薬品に変更できるものがあれば、患者にその意志を問う必要がある。これは法的な強制力は無く努力義務であるが。

患者の意志を確認の後、調剤を行う。そして、処方箋発行医療機関に当該患者に調剤を行った後発医薬品の情報を提供する。



ジェネリック医薬品への変更希望の有無を確認する上での対応・手順を説明する。

よくある場合として、患者が聞きたいと思っているのが、

「ジェネリックとは何?」
「では幾ら安くなるのか?」
「効果に差はないのか?」

以上3点である。

患者がどうしようか悩んだり迷っているようであれば、上記の事を事細かに説明して納得して頂き、その判断を委ねる。決定権は患者側にあることを忘れてはならない。



患者役になり初来局の患者へのロールプレイを行う。

時間配分は2コマであるので説明1コマ。ロールプレイ1コマで行いたい。